ムーンショット計画の目標8では、地球温暖化によって、高まる災害リスクを回避するために制御システムの開発などを行います。
台風制御システムの開発は、半世紀ほど前、アメリカ航空機にて同様のモノがありましたが、それ以降、初めての試みになります。
【ムーンショット計画 目標8】
2050年までに、激甚化しつつある台風や豪雨を制御し、極端風水害の脅威から解放された、安全安心な社会を実現
本記事では、内閣府が提示している資料を元にムーンショット計画目標8の説明をします。
そして最後に、地球環境から考える新しい新しい暮らし方について、紹介記事を掲載しています。
ムーンショット計画8「ターゲット」

- 2050年までに、激甚化しつつある台風や豪雨(線状降水帯によるものを含む)の強度・タイミング・発生範囲などを変化させる制御によって極端風水害による被害を大幅に軽減し、我が国及び国際社会に幅広く便益を得る。
- 2030年までに、現実的な操作を前提とした台風や豪雨(線状降水帯によるものを含む)の制御によって被害を軽減することが可能なことを計算機上で実証するとともに、広く社会との対話・協調を図りつつ、操作に関わる屋外実験を開始する。
※引用元:内閣府「ムーンショット目標8」
ムーンショット計画8「関連するエリアとビジョン」
- Area :「サイエンスとテクノロジーでフロンティアを開拓する」、「地球環境を回復させながら都市文明を発展させる」
- Vision :「ミレニアム・チャレンジ」
※引用元:内閣府「ムーンショット目標8」
ムーンショット計画8「目標の背景」
・地球温暖化の進行等により、台風や豪雨などによる極端風水害が激甚化・増加している。全世界での気象災害等は過去50年間で5倍に増加し、1970-2019年の経済損失額は3兆6,400億ドル、死者は200万人超と推定(※)されていることなどから、災害リスクを減らすことが喫緊の課題となっている。
・この気象災害へのこれまでの取組は、構造物等による被害抑止や、災害発生前の準備や発生時の早期警報発出等による被害軽減等が主であるが、今後も激甚化・増加が想定される台風や豪雨に対して限界がある。従って、これらに加えて、災害につながる気象現象自体の回避や軽減を可能とする制御技術の研究開発が必須である。
・小規模な雲を対象とした人工降雨など気象現象の改変実験はこれまでも実施され、一定の成果を上げている事例も存在するが、台風や豪雨などの災害につながるエネルギーを持つ気象現象の制御についての研究開発は、「制御効果」と「自然現象」を切り分けた評価が困難であったため、進んでこなかった。
・近年、観測技術・気象モデル・計算機分野等において技術・性能が大幅に向上したことで、シミュレーション精度が飛躍的に高まり、制御を実施した際の「制御効果」と「自然現象」を切り分けた評価の可能性が拓けてきたことから、気象現象の制御に関わる研究開発は、喫緊に取り組むべきものである。
・また、こうした気象制御のための大気モデルの高度化や適切な理論の構築に加え、極端風水害による被害の大幅軽減に資する幅広い技術の特定・確立をあわせて進める必要がある。
・加えて、激甚化しつつある台風や豪雨の気象災害は喫緊の課題であるが、制御については、我が国や国際社会から広く受容されることが必要であり、社会・経済的効果の分析を実施しつつ、社会的な合意形成や倫理的な課題解決、国内外におけるルール形成等を図ることについては、相当な時間を要すると考えられることから、研究開発の初期段階からこれらの点に着手することが不可欠である。
※引用元:内閣府「ムーンショット目標8」
ムーンショット計画8「目指す社会」
ムーンショットが目指す社会
台風や豪雨の高精度予測と能動的な操作を行うことで極端風水害の被害を大幅に減らし、台風や豪雨による災害の脅威から解放された安全安心な社会を実現する。
※引用元:内閣府「ムーンショット目標8」
ムーンショット計画8「プロジェクト一覧」
- 社会的意思決定を支援する気象-社会結合系の制御理論
- 安全で豊かな社会を目指す台風制御研究
- ゲリラ豪雨・線状対流系豪雨と共に生きる気象制御
- 気象制御のための制御容易性・被害低減効果の定量化
- 台風下の海表面での運動量・熱流束の予測と制御
- 局地的気象現象の蓋然性の推定を可能にする気象モデルの開発
- 大規模自由度場のセンサ/アクチュエータ位置最適化と非直交・非線形最適制御則の構築
- 台風制御の予測と監視に不可欠な海の無人機開発
※引用元:内閣府「ムーンショット目標8」
社会的意思決定を支援する気象-社会結合系の制御理論
・プロジェクト概要
※引用元:科学技術振興機構「ムーンショット計画8」
民主的な社会的意思決定に基づく気象と社会の制御で極端風水害の恐怖から解放された社会を目指します。この社会像に向けて、小さな力で最大限に達成できる未来の気象をシミュレーションによって求めるMeteorological Controlの理論研究と、極端風水害が引き起こす多種多様な社会インパクトを統合的に予測するImpact-based Forecastingの技術開発を行います。
安全で豊かな社会を目指す台風制御研究
・プロジェクト概要
※引用元:科学技術振興機構「ムーンショット計画8」
本研究は気候変動に伴い激甚化が予想される台風を、防災インフラの有効範囲程度まで抑制する制御理論と要素技術を開発し、2050年までに台風の脅威から開放された安全で豊かな社会の実現を目指します。そのために航空機、船舶、衛星での高精度観測と、台風内部まで再現する数値モデル開発を行い、これらから台風制御理論を確立します。さらに災害予測と影響評価を行い、台風制御の社会的受容性と合意形成の問題に取り組みます。
ゲリラ豪雨・線状対流系豪雨と共に生きる気象制御
・プロジェクト概要
※引用元:科学技術振興機構「ムーンショット計画8」
2050年までに、都市改変により着実に人間活動由来の豪雨発生を削減し、また気候変動適応策として気流渦・熱、水蒸気流入・収束、雲粒子形成など“豪雨の根っこ”を操作することで、豪雨を発生しにくくする実時間制御の実現を目指します。豪雨制御の長期影響評価とELSIの視座から“自然の懐”を明らかにし、自然と人を繋ぐキーファクターとして豪雨制御技術を位置づけることによって、豪雨と人が共に生きる未来社会の形成を目指します。
気象制御のための制御容易性・被害低減効果の定量化
・プロジェクト概要
※引用元:科学技術振興機構「ムーンショット計画8」
本研究は、気象制御の意思決定における「制御効果最大化」の議論を可能とするため、(1) 気象の制御容易性、(2) 気象制御による被害低減効果 の定量化を実現します。(1)では過去の気象災害事例に対し「少しの操作で災害を回避できる災害/非災害レジームの分水嶺が存在するか?」を機械学習により明らかにします。(2) では、非制御・制御シナリオの被害金額・影響人口を日本全域で算出し、被害低減効果を定量化します。
台風下の海表面での運動量・熱流束の予測と制御
・プロジェクト概要
※引用元:科学技術振興機構「ムーンショット計画8」
これまで台風を制御したいと望んでも、(1)台風強度予測精度が悪い、(2)自然現象と台風制御効果とを見分ける事が難しい、という2つのボトルネックが存在していました。そこで本研究では、台風をシミュレーションするための大型室内実験水槽を用いて、台風下の海表面を通しての運動量と熱の輸送機構を解明し、砕波や風波のパラメータを用いて運動量・熱の輸送量を定式化し、ひいては2つのボトルネックの解決を目指します。
局地的気象現象の蓋然性の推定を可能にする気象モデルの開発
・プロジェクト概要
※引用元:科学技術振興機構「ムーンショット計画8」
線状降水帯のような局地的気象現象の発生場所・時刻・強度などが必然的に決まるのかそれとも偶然的かという蓋然性は、それら現象の制御のための適切な手法決定のためには極めて重要です。現状では蓋然性の推定のためには複数の課題が存在します。本研究では、最も大きな課題の一つであるシミュレーションモデルの問題解決に取り組み、蓋然性推定を可能にする気象モデルの開発を目指します。
大規模自由度場のセンサ/アクチュエータ位置最適化と非直交・非線形最適制御則の構築
・プロジェクト概要
※引用元:科学技術振興機構「ムーンショット計画8」
気象のような複雑大規模自由度場の制御に於いて制御効率を最大化するため1)センサおよびアクチュエータの位置の最適化技術および2)線形近似システムに内在する非直交性を利用した過渡応答により制御入力に限界がある状況下で場を制御する非線形制御則の技術を構築します。この制御を実現し、モデル問題、流体力学問題、および簡易的な気象モデルへ適用し、その効果を明らかにして実際の気象問題での適用への基盤を作ります。
台風制御の予測と監視に不可欠な海の無人機開発
・プロジェクト概要
※引用元:科学技術振興機構「ムーンショット計画8」
台風は暖水海面からの潜熱供給により発生発達するため、台風中心周辺域における海上大気や海洋表層(~深さ約150m)の詳細な構造は、台風制御実施前に必要不可欠なデータであり、かつ制御実施後にも継続的に監視すべき重要な情報ですが、航空機や衛星観測から知ることが困難です。このため、台風中心周辺域で自律的に定点保持可能なVirtual Mooring(仮想係留)機能を有し、海洋表層と海上気象を継続的に観測可能な無人観測機(VMドローン)を開発することにより、台風制御に必須な予測と監視の実現に貢献します。
ムーンショット計画8の説明はここまで
いかがでしたでしょうか。
ムーンショット計画8では、台風や豪雨などを予測できる高精度なシステムと、能動的な操作を行うことで、極端風水害の被害を大幅に減らすことができます。これによって、災害による脅威から解放された安心な社会を実現する研究などを行っています。
最後に【当社の考え】
最後に、以下について当社の考えをお話します。
- 地球環境から考える「新しい暮らし方」
地球環境から考える「新しい暮らし方」
気象現象に関連して、私たちが今から気にしておきたいことで、「住まい」があります。これから、どんな家に住むのか?ということも少しずつ変化していくと思うからです。
3Dプリンターの家
最近は、未来的な住まいが多数出ており、300万円程で買える家のモデルが出来て話題になっています。
安価な家を見ると、今後は、ミニマムな考え方の人や、気軽に転居したい人、車を感覚で家の購入をする人が増える予測できます。また、3Dプリンターの家は耐震強度も高いそうです。
直線型高層都市「THE LINE」
参考までに、国家プロジェクトなので規模が大きいのですが、現在サウジアラビア王国では、直線型高層都市を作り始めています。
「THE LINE」という、全長170km・高さ500m・幅200mで、約900万人が入れます。道路・車・排気ガスがなく、人を第一に考えて、自然を保護しながら、新しい都市生活を提供する構想になっています。
このように、日本だけではなく、世界も日常生活(暮らし)をテーマにして、新しい事業を計画しています。
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次のムーンショット計画9は、「こころの健康」に着目しており、「精神医療」をテーマに研究をしています。
いじめ・誹謗中傷・DVなど…、ストレスから起こるうつ病。人間の心や脳の負担を軽減するための研究や、伝統芸能や文化などを取り入れながら、新しい治療方法を開発します。
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ムーンショット計画目標9【精神医療】五感をコントロールするVRと注意点
ということで、今回は以上です。
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