ムーンショット計画の目標5では、将来的に世界の人口が増えることを想定して、食料生産を増やすために、土壌の健康管理を行うシステムづくりや、新品種の食材などの開発を行っています。
【ムーンショット計画 目標5】
2050年までに、未利用の生物機能等のフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な食料供給産業を創出
本記事では、内閣府が提示している資料を元にムーンショット計画目標5について説明します。
そして最後に、「昆虫食」が学校給食に採用された記事を参考に、昆虫食の評判について、当社の考えをお話しています。
ムーンショット計画5「ターゲット」

- 2050年までに、微生物や昆虫等の生物機能をフル活用し、完全資源循環型の食料生産システムを開発する。
- 2050年までに、食料のムダを無くし、健康・環境に配慮した合理的な食料消費を促す解決法を開発する。
- 2030年までに、上記システムのプロトタイプを開発・実証するとともに、倫理的・法的・社会的(ELSI)な議論を並行的に進めることにより、2050年までにグローバルに普及させる。
※引用元:内閣府「ムーンショット計画5」
ムーンショット計画5「関連するエリアとビジョン」
- Area :「地球環境を回復させながら都市文明を発展させる」
- Vision :「資源の完全循環」、「自然との共存」
※引用元:内閣府「ムーンショット計画5」
ムーンショット計画5「目標の背景」

・世界的な人口増加により、2050年には穀物需要量が現行の1.7倍にも達すると予想され、食料需給のひっ迫が必至の状況にある。
・温暖化に伴う異常気象の頻発や、肥料や灌漑用地下水の枯渇等も進行する。
・食料の元となる有機物は、農作物、食品、排出物、土壌物質等として循環しているが、その循環の破綻が、気候変動、食料供給の持続性への障害等、地球環境に悪影響を及ぼす。
・有限な鉱物資源を原料とした化学肥料や農薬等の多投は、自然循環に悪影響を及ぼす。
・今後は、本来の自然や生物機能を最大限に活用した、ムリ・ムダのない社会経済活動を生み出すことが益々重要になる。
・昆虫、土壌微生物、人体内微生物等にあっては、未利用な機能が多数存在しているものと推測され、これらの機能を活用した新たな社会経済活動のシステム化を図ることが必要である。
※引用元:内閣府「ムーンショット計画5」
ムーンショット計画5「目指す社会」
ムーンショットが目指す社会
・地球規模でムリのない食料生産システムを構築し、有限な地球資源の循環利用や自然循環的な炭素隔離・貯留を図ることにより、世界的な人口増加に対応するとともに地球環境の保全に貢献する。
・食品ロスをなくし、ムダのない食料消費社会を実現する。
・人工的物質に依存しない、地球本来の生物・自然循環が円滑に機能する社会を実現する。
※引用元:内閣府「ムーンショット計画5」
ムーンショット計画5「プロジェクト一覧」
1:食料供給の拡大と地球環境保全を両立する「食料生産システム」
- サイバーフィジカルシステムを利用した、作物強靭化による食料リスクゼロの実現
- 土壌微生物叢アトラスに基づいた、環境制御による循環型協生農業プラットフォーム構築
- 藻類と動物細胞を用いた、サーキュラーセルカルチャーによる、バイオエコノミカルな培養食料生産システム
- 先端的な物理手法と未利用の生物機能を駆使した、害虫被害ゼロ農業の実現
- 牛ルーメンマイクロバイオーム完全制御による、メタン80%削減に向けた新たな家畜生産システムの実現
サイバーフィジカルシステムを利用した、作物強靭化による食料リスクゼロの実現
・プロジェクト概要
本プロジェクトでは、劣悪な環境でも生育できる野生植物等の「強靭さ」のメカニズムを解明し、養分欠乏や干ばつ等の環境ストレス下でも栽培できる、強靭な作物を迅速に開発する、デジタル作物デザイン技術を確立します。野生植物のもつ「強靭さ(養分欠乏、乾燥、塩害)」に関わる遺伝子を集積、AIなどの情報科学技術を駆使し、サイバー空間で生育を予測、デザインされた情報に基づき、多数の関与遺伝子を同時にゲノム改良することで、新品種の開発はもとより、数千年を要する作物栽培化を数年に短縮することを可能とします。
※引用元:内閣府「ムーンショット計画5」
土壌微生物叢アトラスに基づいた、環境制御による循環型協生農業プラットフォーム構築
・プロジェクト概要
本プロジェクトでは、土壌微生物叢アトラス、作物、環境制御・測定、社会科学、栽培マネジメントの5つのサブグループにより研究体制を構築し、土壌・植物・環境の3つの要素を正確に把握し、それらの相互作用を理解し、制御することを目指します。また、「循環型協生農業プラットフォーム」を基盤として、土壌の健康管理を行う栽培マネジメントが可能なシステム作りを推進することで、産業展開を見据えた農業イノベーションを図ります。
※引用元:内閣府「ムーンショット計画5」
藻類と動物細胞を用いた、サーキュラーセルカルチャーによる、バイオエコノミカルな培養食料生産システム
・プロジェクト概要
本プロジェクトでは、光合成により無機物から有機物を合成可能な藻類培養を端緒とした炭素・窒素等の物質循環が行われる高効率・低環境負荷の循環型細胞培養システム(サーキュラーセルカルチャーシステム、CCC)を開発し、さらに増幅した動物細胞から可食部組織のみを生産する立体組織化システムを確立します。サーキュラーセルカルチャーは細胞培養工学、触媒化学、遺伝子工学を結集し藻類由来栄養素による細胞増幅と廃液リサイクルを実現する技術で従来の培養食料生産技術と比べ格段にムリ・ムダを低減できます。細胞からの立体組織化システムは、我が国が得意とする再生医療分野における組織工学を応用展開します。両システムを統合することで、細胞を食材としたバイオエコノミカルな培養食料生産システムの実現を目指します。
※引用元:内閣府「ムーンショット計画5」
先端的な物理手法と未利用の生物機能を駆使した、害虫被害ゼロ農業の実現
・プロジェクト概要
※引用元:内閣府「ムーンショット計画5」
本プロジェクトでは、青色レーザー光による殺虫技術、新たな天敵系統の育種や行動制御、共生微生物を用いた害虫密度抑制といった、これまでにない新たな防除技術を開発、組み合わせることで、化学合成農薬に依存しない害虫防除体系を確立します。これによって、消費者・生産者・環境すべてにやさしく、持続的な農業体系を開発します。
牛ルーメンマイクロバイオーム完全制御による、メタン80%削減に向けた新たな家畜生産システムの実現

・プロジェクト概要
本プロジェクトでは、牛からのメタンを最小化する個体別飼養管理システムの開発に挑戦します。まず、メタンを強力に抑制する飼料やマイクロバイオームをメタン最小化に導くプロ・プレバイオティクスを新たに開発します。併せて、ルーメン内に留置し発酵状況をリアルタイムで体外へ発信する新規デバイス(スマートピル)を開発します。受信したデータはAI解析して精密給餌プログラムを提案します。すなわち、個体別にルーメンのマイクロバイオームと栄養状態を制御・管理できる未来型の飼養管理システムを確立・普及拡大させることで、メタン削減と生産性向上の世界的展開をはかります。
メタン削減資材は北大・帯畜大・道総研・農研機構が科学的な探索と給餌プログラムの提案を、マイクロバイオームは農研機構・名大・全農が制御戦略を、スマートピルは東大・物材研・産総研・農研機構が技術革新を、各々担える強い研究・技術化基盤を有しています。
※引用元:内閣府「ムーンショット計画5」
2:食品ロス・ゼロを目指す「食料消費システム」
- 地球規模の食料問題の解決と、人類の宇宙進出に向けた、昆虫が支える循環型食料生産システムの開発
- フードロス削減とQoL向上を同時に実現する、革新的な食ソリューションの開発
- 自然資本主義社会を基盤とする、次世代型食料供給産業の創出
地球規模の食料問題の解決と、人類の宇宙進出に向けた、昆虫が支える循環型食料生産システムの開発
・プロジェクト概要
※引用元:内閣府「ムーンショット計画5」
本プロジェクトでは、2030年までに、農作物残渣・食品廃棄物を有用タンパク質に転換できる昆虫を、魚粉を代替する水産・畜産飼料原料として確立すると共に、人類の食・健康と地球環境を支える新たな生物資源として活用します。2040年までに、地球上のいかなる環境にも対応可能な昆虫生産システムを開発し、2050年までに、宇宙空間における人類の安全・安心な食と健康を支える完全循環型の食料生産システムに昇華させます。
フードロス削減とQoL向上を同時に実現する、革新的な食ソリューションの開発

・プロジェクト概要
本プロジェクトでは、フードロス削減とQoL向上を実現する新規なパーソナル食品製造システムを開発します。すなわち、未利用食材からの構造を制御した粉粒体等のデジタル食材の開発、摂食中の味、食感、香り等のおいしさを感じる食の特徴をパターン化する動的評価技術の開発とおいしさデータベースの構築、デジタル食材の加工特性を活かしつつ多様な食感やおいしさを生み出す、新規な3Dプリンティング技術を開発します。「革新的な食ソリューション」として、世界初となる廃棄食材、食感、味などの全ての「食」のデジタル化、3DフードプリンタとAIを集積させた3D-AIシェフマシンによりプリント食品へ再構成することで実現可能となる、個々人の健康、嗜好に応じた食品の提供が可能なデータ駆動型の食品提供システムの構築を目指します。個々人の好みや体調に応じおいしさの欲求を満たしつつ健康管理にも繋がる3D-AIシェフマシンによる新たなプラットフォームの構築が挑戦のポイントとなる。
AIを集積した3Dフードプリンティングシステム(3D-AIシェフマシン)を用いて、おいしさデータベースを基に個人の健康データ等と連動したパーソナル食品を提供することができるプラットフォームを構築し、「新たな日本食」として世界に価値を発信し、フードロス削減と人々のQoL向上を目指します。
※引用元:内閣府「ムーンショット計画5」
自然資本主義社会を基盤とする、次世代型食料供給産業の創出

・プロジェクト概要
※引用元:内閣府「ムーンショット計画5」
本プロジェクトでは、2030年までに食品・飼料を構成する栄養素などが生物個体に与える影響を数理科学的手法や医と食の協創によって包括的に理解することで、生物情報を目的に合せてデザインする『AI Nutrition技術』の基盤を確立します。さらに本技術を駆使することで、科学的エビデンスに基づいた「食」による健康の保持・増進を可能とする『未来型食品』の実現に向けた道筋をつけます。
本プロジェクトでは特に、生活習慣病や老化の予防などに効果的な「食」を探求していきます。さらにこうした研究成果から「食」の重要性を再認識し、「食」の恩恵をもたらしてくれる自然資本を大切にすることの大事さを皆さんと共に考えることで、自然資本主義に向けた社会変容に挑みたいと考えています(DX Nutrition)。
ムーンショット計画5の説明はここまで
いかがでしたでしょうか。
ムーンショット計画5では、世界的な人口増加に対応するために、無理のない食料生産システムを構築して、地球資源の循環利用や自然循環的な炭素隔離・貯留を図ります。また、食品ロスをなくし、ムダのない食料消費の社会を実現をします。
最後に【当社の考え】
最後に、以下について当社の考えをお話します。
- 【参考記事紹介】学校給食に「昆虫食」導入がはじまる
- 昆虫食の評判
学校給食に「昆虫食」導入がはじまる
実際に、学校給食に昆虫食が参入し始めて話題になっています。
下記にて、掲載記事をご紹介しますので、参考にしていただければと思います。
食用コオロギを養殖するグリラス(徳島県鳴門市)は学校給食事業に参入した。徳島県立小松島西高校(小松島市)が28日、同社から仕入れた乾燥コオロギの粉末を校内調理し、給食として提供した。同校は今夏にコオロギ食材の調理実習などを手がけており、生徒や教師らの間で昆虫食への理解が深まっていた。コオロギの給食導入は全国で初めてという。
グリラスと小松島西高校は同日、報道陣に給食の調理や生徒の食事のようすなどを公開した。調理師を目指す食物科の生徒が、校内の食堂で昼食づくりを担当。グリラスが納入したコオロギ粉末を使い、給食メニューの第1弾となる「カボチャコロッケ」を用意した。ひき肉に代わるたんぱく源として、コオロギ粉末をカボチャに混ぜたのが特徴だ。
小松島西高では食物科の生徒が自ら給食の献立を考え、調理している。全体で500人余りいる生徒・教職員のうち、170人程度が毎日給食を利用しているという。食物科長の多田加奈子教諭は「給食に昆虫メニューを取り入れることで、SDGs(持続可能な開発目標)やエシカル(倫理的)消費を深く考えるきっかけになれば」と期待する。
実際にカボチャコロッケを食べた生徒からは「コオロギと聞くと抵抗があるが、粉末で中に入っている分には気にならない」「何となくエビに似た風味がして、おいしかった」などの声が聞かれた。多田教諭は「メニューは未定だが、年明けにもコオロギ給食の第2弾を予定している」と言い、その後の定番化も検討する。
小松島西高は6月、食用コオロギの粉末を使った調理実習と、昆虫食に関する全校生徒向けの特別授業を行った。調理では皮の生地にコオロギ粉末を練り込んだ肉まんを試作。授業ではグリラスの広報担当が講師となり、人口増に伴う世界的な食糧不足の問題を指摘しつつ、コオロギに代表される「高たんぱくの昆虫食」の有用性を説いた。
「こうした下地が、今回の給食導入につながった。さらに採用校を増やしたい」とグリラスの西郷琢也氏は話す。コオロギなどの昆虫は、牛や豚などの家畜に比べて圧倒的に少ない飼料で短期間に育つ。グリラスは通常は廃棄される小麦残さのフスマなどを餌に使い、環境にやさしい循環型食材としてコオロギの定着を目指している。
グリラスは徳島大学発のスタートアップで、同大助教の渡辺崇人社長が2019年に設立した。翌20年に「無印良品」を手がける良品計画がグリラスのコオロギ粉末を使ったせんべいを商品化して話題を呼んだ。21年からは自社ブランドの「シートリア」で菓子やレトルトカレー、パンなどの販売を始めた。
現在は徳島県西部の美馬市にある廃校などを使って食用コオロギを養殖している。手作業が中心のコオロギ養殖を自動化するための研究や、殻が透明で白い粉末が作れる品種の開発などにも取り組んでいる。
引用元:日本経済新聞「食用コオロギの粉末を学校給食に 全国初まず徳島で」
今後は、畜産系の食べ物よりも、昆虫食のような新しい食べ物が多く市場を取っていくと思います。また、昆虫食は、飼育コストもかからないので、DX化で大量生産ができれば、加速的に広まると予測されています。

昆虫食の評判
ここ最近は、昆虫食の話題も増えて色んな意見を聞くようになりました。
その結果、味は美味しいが、日常的に「食べたいか?」「食べたくないか?」という点では、「食べたくない…」という意見の方が多く見受けられます。
テクノロジーが生み出した昆虫食やDXですが、昆虫食を食べたくない方向けに、従来からある食品と選べるようにしておくことも必要です。
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ムーンショット計画目標6【量子コンピュータの仕組み】人とAIの融合をした事業アイディア
ということで、今回は以上です。
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