ムーンショット計画目標4【地球温暖化対策】CO2を排出しない「バイオ燃料車」

ムーンショット計画の目標4では、地球温暖化対策として、Co2の再利用をすることで有益な資源に変える技術や、新しいプラスチック素材などを開発しています。

【ムーンショット計画 目標4】
2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現

本記事では、内閣府が提示している資料を元にムーンショット計画目標4について説明します。

そして最後に、走行中にCO2を排出しない「バイオ燃料車」の事業について、参考記事を紹介します。

目次

ムーンショット計画4「ターゲット」

※参考:内閣府「現状の大気汚染のメカニズム」

地球環境再生のために、持続可能な資源循環の実現による、地球温暖化問題の解決(Cool Earth)と環境汚染問題の解決(Clean Earth)を目指す。

Cool Earth & Clean Earth

  • 2050年までに、資源循環技術の商業規模のプラントや製品を世界的に普及させる。

Cool Earth

  • 2030年までに、温室効果ガスに対する循環技術を開発し、ライフサイクルアセスメント(LCA)の観点からも有効であることをパイロット規模で確認する。

Clean Earth

  • 2030年までに、環境汚染物質を有益な資源に変換もしくは無害化する技術を開発し、パイロット規模または試作品レベルで有効であることを確認する。

    ※引用元:内閣府「ムーンショット計画4」

ムーンショット計画4「関連するエリアとビジョン」

Area :「地球環境を回復させながら都市文明を発展させる」

Vision :「資源の完全循環」、「資源要求の劇的削減」

※引用元:内閣府「ムーンショット計画4」

ムーンショット計画4「目標の背景」

ムーンショット計画4「クールアース・クリーンアース」

・温室効果ガス削減が急務だが、パリ協定で掲げられた2℃目標と各国の約束草案に基づく見通しには、2030年で130億t-Co2ものギャップがあるとの予測がある。従来の排出源対策に加え、ネガティブエミッション技術等の新たな温室効果ガス対策が不可欠となる。

・プラネタリーバウンダリー(人間社会が発展と繁栄を続けられるための地球の限界値。これを超えると人間が依存する自然資源に対して回復不可能な変化が引き起こされる。)において、窒素等が限界値を超えたハイリスクな状態にあるとの報告がある。

・海洋プラスチックごみ問題については、海の生態系に影響を与えており、食物連鎖を通じた人類への影響も懸念される。

・これらのような、環境中に排出され悪影響を及ぼしている物質については、排出削減の努力に加えて、排出される物質を循環させる方策が必要となる。

※引用元:内閣府「ムーンショット計画4」

ムーンショット計画4「目指す社会」

ムーンショット計画4が目指す社会

温室効果ガスや環境汚染物質を削減する新たな資源循環の実現により、人間の生産や消費活動を継続しつつ、現在進行している地球温暖化問題と環境汚染問題を解決し、地球環境を再生する。

※引用元:内閣府「ムーンショット計画4」

ムーンショット計画4「プロジェクト一覧」

1:温室効果ガスを回収、資源転換、無害化する技術の開発

  • 電気エネルギーを利用し大気Co2を固定する、バイオプロセスの研究開発
  • 大気中からの高効率Co2分離回収・炭素循環技術の開発
  • 電気化学プロセスを主体とする、革新的Co2大量資源化システムの開発
  • C4S*研究開発プロジェクト * C4S:Calcium Carbonate Circulation System for Construction (建設分野の炭酸カルシウム循環システム)
  • 冷熱を利用した、大気中二酸化炭素直接回収の研究開発
  • 大気中Co2を利用可能な統合化固定・反応系(quad-C system)の開発
  • “ビヨンド・ゼロ”社会実現に向けたCo2循環システムの研究開発
  • 資源循環の最適化による農地由来の温室効果ガスの排出削減

電気エネルギーを利用し大気Co2を固定する、バイオプロセスの研究開発

・プロジェクト概要

本プロジェクトでは、電気エネルギーを利用し大気中Co2を、植物の 50倍以上の効率で有用有機物に変換可能な微生物を用いた革新的なネガティブエミッション技術を開発し、日本ならびに地球規模でのCo2削減に大きく貢献し地球温暖化問題を解決することを最終的な目的とする。

本プロジェクトでは「電気利用Co2固定微生物の人工合成」と「気相反応バイオプロセスの構築」を実現し、本技術の実証可能性を明確に示すことを目的とする。

本プロジェクトでは生分解プラスチック原料となるポリヒドロキシアルカン酸の生産菌としてすでに広く利用されている Ralstonia eutorophaをプラットフォーム生物として使用する。Ralstonia は基本的な遺伝子操作のツールは備わっているが、大規模ゲノム操作の適用例はないため、本プロジェクトでは Ralstonia の大規模ゲノム操作の基盤技術を開発する。その技術を活用し、合成生物学的アプローチにより電気エネルギー利用能、大気Co2の取込み・濃縮能、高いCo2固定能を Ralstonia に付与することで、電気エネルギーとCo2から有用有機物を生産可能なスーパー微生物を創出する。加えて、スーパー微生物の能力を最大限発揮するために必要となる気相反応リアクターを設計・構築する。

このリアクターは①微生物が電気エネルギー供給源となる電極と直接接触していること、②微生物が基質となるCo2を含む気相と直接接触していること、③微生物が栄養供給や生産物の回収に必要な水相と直接接触していること、3 要件を満たすこれまでに例のない微生物プロセスである。

本プロジェクトでは理想的な気相・固相・液相の3相反応を実現している水素燃料電池の技術に倣い、そのノウハウを活用することで微生物の電気化学的Co2固定反応を高速化するバイオリアクターを開発する。

※引用元:内閣府「ムーンショット計画4」

大気中からの高効率Co2分離回収・炭素循環技術の開発

※引用元:内閣府「現状の大気汚染ルート」

・プロジェクト概要

大気中から直接Co2を回収(Direct Air Capture)し、回収したCo2を有価物に転換する炭素循環技術の確立に向けて、以下の 3 つのテーマについて研究開発を行う。

研究開発項目 1.「大気中からの高効率Co2回収技術開発」では、大気中のCo2を効率的に分離回収可能な革新的なポリアミン等を担持した吸収材の開発とともに、従来技術よりも大幅に低い温度で再生可能なCo2濃縮回収システムのための間接加熱型TSA(温度スイング吸着・吸収)技術、および低い通気抵抗を特長とする固体吸収剤担持ハニカムロータを用いて飽和空気等で再生する形式の吸収濃縮プロセス等の開発を行う。

研究開発項目 2.「炭素循環のためのCo2変換技術開発」では、無機系分離膜を用いて、Co2から高効率かつ省エネルギーで液体炭化水素燃料を合成するプロセスの開発を行う。

ここでは高い透過分離性能と安定性を有する規則性多孔体(ゼオライト等)をはじめとする脱水膜の開発と反応場に水素を供給するための水素透過膜の開発を行うとともに、反応場に水素を供給する Extractor-Distributor 一体型膜反応器等、反応の制御と高効率化を可能とする膜反応器を開発し、実験とシミュレーションの双方から最適操作条件を模索する。また、膜反応器開発で得られたエンジニアリングデータを基
に、膜反応プロセスの省エネルギー化、製造コスト削減のための最適なプロセス構造を検討する。


研究開発項目 3.「液体炭化水素燃料適用性、LCA評価」では大気中から回収したCo2を用いた液体炭化水素燃料への変換プロセスに関して、ユーザー企業と連携してLCA評価、実適用性評価、経済性の評価を行う。

※引用元:内閣府「ムーンショット計画4」

電気化学プロセスを主体とする、革新的Co2大量資源化システムの開発

・プロジェクト概要

大気中に放散された希薄なCo2を物理/化学的手法にて回収・富化し、再生可能エネルギーを駆動力とする電気化学プロセスにより還元資源化する統合システムを開発します。大気中のCo2を対象とし、電気化学プロセスの特長を活かして小規模分散配置が可能な、熱化学プラントとは一線を画したフレキシブルかつスケーラブルなシステムを確立します。

大気中Co2を対象とすることで、ビルの室内空気や工場排気なども含む広範なCo2排出源に対応できる技術を構築可能です。本統合システムは、主に物理吸着および電気化学的な手法によるCo2の回収・富化、および分離したCo2を原料として有用化学原料(エチレン等)を生成する電解還元の技術から構成されます。とくに、電気化学的なCo2の溶解制御によるCo2の分離・富化、革新的な触媒と反応器による高効率・高選択性のCo2還元をコア技術として開発します。各要素技術の開発および要素技術のプロセス統合、そしてプラント実証を推進し、革新的なCo2資源化システムの社会実装を目指します。

※引用元:内閣府「ムーンショット計画4」

C4S*研究開発プロジェクト * C4S:Calcium Carbonate Circulation System for Construction (建設分野の炭酸カルシウム循環システム)

・プロジェクト概要

コンクリートは社会資本整備にとって必須の建設材料であるが、その主要材料であるセメントの生産に際して、有限な天然資源である石灰石を大量に使用するとともに、温室効果ガスである Co2を大量に排出している。石灰石の可採年数は約 100 年であり、世界全体で毎年排出される約 330 億トンの Co2の約7%がセメント生産によるものである。

このようなセメントコンクリートにおける資源枯渇および Co2排出の問題を根本的に解決するために、本プロジェクトでは、建造物として蓄積されたセメントコンクリート中の Ca を Co2吸収可能な潜在的未利用資源とみなし、建造物の解体によって発生するセメントコンクリート廃材と大気中のCo2とを炭酸カルシウムコンクリート(CCC: Calcium Carbonate Concrete)として再生する技術を開発し、セメントコンクリートに替わる主要建設材料として実用化することで、新たな資源循環体系(C4S:Calcium CarbonateCirculation System for Construction)を実現する。

現在、本プロジェクトでは、CCC 用骨材として最適な粒度分布・炭酸化率を有する再生骨材粒子および炭酸水素カルシウム溶液を製造するプロセスの確立に向けて、建造物の解体で発生するセメントコンクリート廃材の効率的な破砕方法、および効率的なCo2吸収固定化方法の開発を行っている。また、密接状態の再生骨材粒子間に炭酸水素カルシウム溶液を流し、温度制御・pH 制御・蒸発速度制御によって炭酸カルシウム結晶を析出させ、再生骨材粒子同士を結合させて CCC とする技術の構築(図 2)、および一連の効率的な反応制御技術の開発を行っている。さらに、CCC の材料設計法および CCC 構造物の設計法の開発、CCC の各種性能の評価、CCCおよび C4S の標準化に向けたデータ整備・制度構築、C4S の社会実装に向
けた資源循環シナリオ設計、および C4S が創出する新たなサプライチェーンにおける LCCO2 の削減効果
の分析を行っている。これらの一連の研究開発によって、CCC が従来のコンクリートと同等以上の性能を
有する見込みであること、大気中のCo2を非効率的でなく吸収・固定化できる見込みであること、一連の
製造プロセスに要するエネルギーが問題とはならず、C4S の構築が地球温暖化対策に貢献できる見込みで
あることを示す。


C4S の実現により、Co2を取り込んだコンクリートが CCC として回収・循環されるとともに、CCC は主要建設材料として省エネルギーで何回でも繰り返し再生利用されることとなる。これにより、地球温暖化は大きく抑制され、地球環境の再生が図られる。

※引用元:内閣府「ムーンショット計画4」

冷熱を利用した、大気中二酸化炭素直接回収の研究開発

・プロジェクト概要

液化天然ガス(LNG)などの未利用の冷熱を活用して、大気中Co2直接回収(Direct Air Capture、DAC)を、抜本的に高効率化する新技術を開発する。LNG が気化するときに周囲の熱を奪う冷熱によって、Co2 を捕捉した吸収液からCo2をドライアイスとして回収する一連のプロセスの構築を目指す。

吸収塔でアルカリ性溶液に大気中のCo2を吸収させ、再生塔へと送る。再生塔の下流には、LNG を冷却媒体とする熱交換器を備えた昇華槽を設置する。ここで、Co2をドライアイスとして固化する。これにより、昇華槽と連結した再生塔の圧力が下がり、吸収液からCo2を放散させる仕組みを開発する。

従来のような加熱によるCo2放散ではなく、Co2の冷却・昇華がもたらす減圧によってCo2を回収する点が特徴である。環境温度付近における運転が可能で、熱エネルギー投入の最小化が期待できる。昇華槽で集めたドライアイスを密閉下で加熱すれば、高圧Co2あるいは液化炭酸として出力できるので、その後のCo2貯留(CCS)や利用プロセス(CCU)との適合性にも優れる。

※引用元:内閣府「ムーンショット計画4」

大気中Co2を利用可能な統合化固定・反応系(quad-C system)の開発

・プロジェクト概要

身の回りの化学製品の多くには炭素が含まれています。カーボンニュートラルな未来において、これらの化学製品の生産はバイオマス利用、炭素固定利用、そして回収される使用後製品利用からなる、3つのカーボンリサイクル経路のみを炭素源とするように移行する必要があります。本事業で行う研究開発は、空気中からの炭素固定利用(Direct Air Capture, DAC)を対象に、上記 3 つの資源の特徴を活かし組み合わせて、省エネルギーな変換経路での化学製品への導入を実現する、Co2利用プロセスを新たに開発します。

【戦略1:省エネルギー性の高い変換ターゲットの設定】

質の中には、カルボニルという構造を持つものが数多くあります。ポリカーボネート、ウレタン、ウレアなど、身の回りに多く使われている樹脂や、リチウムイオン電池の素材、燃料や薬品などの原料が好例です。二酸化炭素をカルボニル源として用いる経路は、適切な触媒を用いれば炭素を還元することなく、化学構造の一部として活用でき、高い省エネルギー性を実現しうるのが特長です。


【戦略2:省エネルギーな変換プロセスの開発】

程度の濃度でしか存在しないCo2 を、経済的に合理的な生産速度で限られた空間の中で獲得しようと思えば、まず大量の空気を変換装置内へ吹き込む必要があります。ここを省エネルギーにするためには、導入した空気中から高い回収率でCo2を固定することが肝要です。このために、宇宙における居住空間用に磨かれた膜分離技術に着目し、さらに性能を向上させ、応用します。また、Co2を高濃度に取り出す際に、多量のエネルギーを必要としてしまうことが現状の回収技術のボトルネックです。空気からのCo2の固定にはじめから反応原料や反応系構成材料を使ってしまうことができれば、エネルギーをかけてCo2を脱離する必要がなくなります。反応原料に吸収させる方法、反応を省エネルギーに進行させる触媒に吸着させる方法、反応を進めるための脱水材料にCo2を吸着させる方法など様々な複機能物質(Dual FunctionMaterials, DFM)を活用してCo2を反応に供するプロセスを探究し、省エネルギー変換プロセスを実現します。

まず目標製品を尿素誘導体に設定し、Co2を化学吸収したアミンをそのまま触媒(酸化セリウム)へ接触
させる方法を基本形とする「統合化固定・反応系, Combined Carbon Capture and Conversion, quad-C」を実現するシステムを開発します。ここで得た DFMとCo2の吸着、吸収と反応に関する一体的な知見やシミュレーション技術、評価技術を基盤として、さらに多くのカルボニル化合物への展開をめざします。

※引用元:内閣府「ムーンショット計画4」

“ビヨンド・ゼロ”社会実現に向けたCo2循環システムの研究開発

・プロジェクト概要

本研究開発は、分離膜で大気中からCo2を直接回収し、それをその場で資源化する、分散配置型のCo2循環システムを開発し、地球温暖化の主たる原因であるCo2削減と炭素資源循環を実現する。

具体的には、独自ナノ膜技術によって開発された、桁違いのCo2 透過性を有する革新的な分離ナノ膜を出発点とし、選択性が向上したCo2分離ナノ膜からなるCo2回収ユニットと、回収したCo2を炭素燃料に高効率で変換するユニットを開発する。この二つのユニットを自在に連結し、大気からのCo2回収から炭素燃料変換までを一貫して行う「Direct Air Capture and Utilization (DAC-U)システム」を創製する。またこのシステムに、相互連結による高い拡張性を持たせる。これにより、太陽光発電システムと同様に、導入スペース、用途、条件に合わせて、家庭用の小規模からビル等の中規模まで対応するサイズスケーラブルなオンサイトシステムとなる 。 この革新的なDAC-U システムによって、地上に遍く存在する大気から、場所に依存することなく、どこでも(ユビキタス)Co2の回収とその資源化を図り、気候変動問題の解決だけでなく、炭素資源の地産地消と資源循環による堅牢なエネルギー社会構築を実現する。

※引用元:内閣府「ムーンショット計画4」

資源循環の最適化による農地由来の温室効果ガスの排出削減

・プロジェクト概要

本プロジェクトは、ムーンショット目標4のうち、地球温暖化問題の解決(クールアース)および地球環境汚染の解決(クリーンアース)への貢献を目指し、2030年までに、農地における温室効果ガスに係る循環技術を確立・実証し、2050年までに農地由来温室効果ガスの 80%削減を実現することを目的とします。

一酸化二窒素(N2O)はCo2の265倍もの地球温暖化係数をもつ温室効果ガスで、人為的排出源の59%が農業由来です。また、水田はメタン(CH4)の排出源であり、世界の人為的CH4排出源の11%を排出しています。このように温室効果ガスを大量に排出している食料生産システムの改変が人類生存に必須の課題となっています。窒素循環に着目しますと、自然の窒素循環系においては大気中の窒素ガスが微生物により固定され、アンモニア、硝酸に変化し、最終的には窒素ガスとして大気に戻ります。

一方で、近代農業は化学窒素肥料の投入により食料増産を可能にした反面、農地からのN2O発生の問題を引き起こしました。そこで、本プロジェクトでは土壌微生物の物質循環機能を活性化し、自然界の窒素の循環系を強力に回すことにより、目標の実現に貢献します。

本プロジェクトでは、これまでに取り組んできた根粒菌などのN2O無害化微生物と、イネ根圏のCH4無害化微生物に関する研究を発展させ、これらの微生物の温室効果ガス削減能力を圃場レベルで最大化することを目指します。しかし、最大のボトルネックは、外部から接種した微生物は、複雑な団粒構造を持った土壌生態系の頑健性により排除されることです。そこで、最新の研究手法と若手研究者の異分野融合によって、土壌微生物のより深い解明と植物・微生物系土壌の人工デザインの挑戦的な基盤研究を企画し、目標の実現を目指します。

※引用元:内閣府「ムーンショット計画4」

2:窒素化合物を回収、資源転換、無害化する技術の開発

  • 産業活動由来の希薄な窒素化合物の循環技術創出―プラネタリーバウンダリー問題の解決に向けて
  • 窒素資源循環社会を実現するための希薄反応性窒素の回収・除去技術開発

産業活動由来の希薄な窒素化合物の循環技術創出―プラネタリーバウンダリー問題の解決に向けて

・プロジェクト概要

人為活動に由来する有害な窒素化合物の無害化・資源化を実現するため「革新的な窒素循環技術」を確立する。産業・生活活動の結果発生する排ガス、廃水には、有害な窒素化合物が含まれている。現在、その無害化に大量なエネルギーを消費しており、十分な処理がなされない場合もある。プラネタリーバウンダリーの議論では、窒素化合物は Co2やリン等以上に、その限界を大きく超えており、環境汚染の深刻な課題となっている。本研究開発で、「人間が利用できるアンモニア量を大きく減らすことなく窒素化合物排出量を削減する方法を確立」するため、排ガス中 NOx・廃水中窒素化合物を、アンモニア資源として利用できる形態に変換する技術を確立する。この技術により、排ガス・廃水中窒素化合物の環境排出、処理に要するエネルギー消費を共に大きく改善することが期待される。

※引用元:内閣府「ムーンショット計画4」

窒素資源循環社会を実現するための、希薄反応性窒素の回収・除去技術開発

・プロジェクト概要

地球上では、大気・土壌・植生・湖沼・河川・海洋・生態系の間で炭素・水・リン、そして本申請で対象とする窒素が大きな循環システムを構築している。窒素原子はアミノ酸として生体内に含まれているだけでなく、植物の成長における最大の制限要因であるが、一方で工業化の発展に伴って地球環境が許容できる窒素化合物を超えた排出が行われている。従って、窒素の持続可能な循環システムの構築は重要な課題である。

本研究開発では、循環システムにおいて現状人類が必要な技術を保有していない下記のアンモニアとNOxを対象として技術開発を行う。

アンモニアは生物学的除去法により、硝酸塩を経て窒素へと変換されるが、これに加えて人類がエネル
ギーを投入して製造したアンモニアの一部が環境に流出しているので、これを回収することが必要である。
環境に広く拡散されてしまった極低濃度アンモニアと選択的に相互作用することで濃縮する吸着材を開発
し、それを用いたアンモニア濃縮技術として確立するためには、塩基性であるアンモニアと選択的に相互
作用し、比較的安価であるゼオライトの精緻な構造制御が求められる。
内燃機関から発生して環境に流出しているNOxの問題を解決するためには、現在のディーゼルエンジンにおいて実用化されているゼオライト選択還元(SCR)触媒をより高度化させ、活性・耐久性を両立させる必要がある。将来的には、燃焼効率の良い混合ガス組成での運転(リーンバーン)を可能とするエンジンが実用化されると、現行よりも20-30%という大幅な燃費向上が実現可能になるが、排ガス処理技術(= SCR触媒)に対する要求は格段に高くなる(特に低温時性能)。始動時の低温領域および高速走行時の高温域における高い浄化性能・耐久性を有する触媒の社会実装は地球環境再生に直結する重要な課題である。

※引用元:内閣府「ムーンショット計画4」

3:生分解のタイミングやスピードをコントロールする海洋生分解性プラスチックの開発

  • 非可食性バイオマスを原料とした海洋分解可能なマルチロック型バイオポリマーの研究開発
  • 生分解開始スイッチ機能を有する海洋分解性プラスチックの研究開発
  • 光スイッチ型海洋分解性の可食プラスチックの開発研究

非可食性バイオマスを原料とした、海洋分解可能なマルチロック型バイオポリマーの研究開発

・プロジェクト概要

環境低負荷型高分子の分子設計と合成は、グリーンケミストリーとして、化学分野や高分子科学分野において⻑い間議論がなされてきた。新規なバイオマス由来の高分子材料や生分解性ポリマーが開発され、すでに実用化されているものもある。しかし、土壌と海洋の両方で生分解性を示すポリマー材料で実用化されているものは極めて少なく、また生分解性ポリマーは自然環境下で劣化が進みやすいので耐久性に劣り、機械特性も十分でないため、用途が限られ広範囲な分野での利用が進んでいない。すなわち、高分子の生分解性と耐久性・強靭性は典型的なトレードオフの関係にある。

本プロジェクトでは、このような特性における高分子のトレードオフ関係を打破するために、高分子の分解にマルチロック機構を導入する。すなわち分解の際に、光、熱、酸素、水、酵素、微生物、触媒などの複数の刺激を同時に必要とすることで、使用時には分解を抑えてタフネスを保って劣化を防ぎ、環境中に誤って拡散した際には高速なオンデマンド分解が実現可能となる。

本プロジェクトにおいて実用化を目指す製品は、非可食バイオマスを原料として得られるプラスチック、タイヤ、繊維、漁網や釣具である。本プロジェクトに結集した産学官がマトリクス運営を通じて緊密に共同研究を行うことで、高分子の分解に関する日本発の新規概念を構築し、マルチロック型バイオポリマーの材料設計指針を確立する。これを優れた独自技術を有する我が国の企業へ技術移転することで、量産化・低コスト化を通じて実用化を推進すれば、世界全体の環境問題に対して重要な貢献を果たすことができると確信している。

※引用元:内閣府「ムーンショット計画4」

生分解開始スイッチ機能を有する、海洋分解性プラスチックの研究開発

・プロジェクト概要

本研究開発プロジェクトでは、海洋プラスチックゴミに関わる課題を克服し、ムーンショット目標 4「Clean Earth」を実現する「生分解開始スイッチ機能を有する海洋分解性プラスチック」の開発を目指す。本プロジェクトは以下の 4 つの開発項目で構成される。

・項目1:開発する海洋生分解性樹脂の様々な分野への展開を目指して、「生分解開始スイッチ」を組み込むための多様な機能および物性を持った新しい生分解性基盤樹脂の開発を行う。

・項目2:生分解性プラスチックの分解開始時期を完全制御するため、海洋環境およびその他の環境において、使用中は非分解性プラスチックと同様に物性低下がなく、材料の逸失後あるいは材料の海洋流出後に分解を開始させる、「生分解開始スイッチ」の開発を行う。

・項目3:海洋環境において、材料の生分解開始スイッチがオンになった後、速やかな、かつ安定した生分解速度を発現するための生分解速度制御技術を開発する。

・項目4:開発する新しい生分解性プラスチックの海洋環境での生分解性を検証し、また、材料設計に資する海洋生分解性の基礎データを各項目へフィードバックする。

※引用元:内閣府「ムーンショット計画4」

光スイッチ型海洋分解性の、可食プラスチックの開発研究

・プロジェクト概要

本プロジェクトは世界規模の問題である海洋プラスチック問題対策に寄与するために「使用時は十分な耐久性を持つ一方、海洋環境中における強い太陽光照射の下で光スイッチ分解性を示すようになるプラスチック」を開発します。具体的には以下の3つの光スイッチを構築します。

1) ON型光スイッチ:陸域の生活圏では材料として安定ですが、投棄後に強い太陽光と水がプラスチック内部に届き生分解が始まる(ON)スイッチです。さらには、動物や人間の消化管内で軟化分解することで物理的・化学的障害を生じない「可食化プラスチック」となる条件を確立します。

2) OFF型光スイッチ:蛍光灯や太陽光暴露のある状態では生分解が抑制(OFF)され、海中・海底・コンポストなどの暗所の環境で生分解が始まるという光スイッチです。

3) ON/OFF型光スイッチ:上記の2つの光スイッチを具有させた理想的システムです。

※引用元:内閣府「ムーンショット計画4」

ムーンショット計画4の説明はここまで

いかがでしたでしょうか。

ムーンショット計画4では、温室効果ガスや環境汚染をする物質を削減する新たな資源循環の実現により、人間の生産や消費活動を維持しながらも、地球温暖化や環境汚染問題を解決して、地球環境の再生をしていきます。

最後に【当社の考え】

最後に、以下について当社の考えをお話します。

  • CO2を排出しない「電気自動車(EV車)」と「バイオ燃料車」

CO2を排出しない「バイオ燃料車」

CO2を含めた課題解決として立ち上がっているムーンショット計画4ですが、現在、日本では「バイオ燃料」を活用した自動車開発が進められています。

下記にて、記事を紹介させていただきます。

マツダ、バイオ燃料をトヨタと共同研究 EV以外の脱炭素

マツダは29日、トヨタ自動車などが加わるバイオエタノール燃料を研究する共同組織に参画したと発表した。脱炭素に貢献するカーボンニュートラル燃料の一つとされるバイオ燃料を活用することで、電気自動車(EV)以外の脱炭素の選択肢にも備える。

共同組織「次世代グリーンCO2燃料技術研究組合」にはトヨタのほか、ENEOS、スズキ、SUBARU(スバル)、ダイハツ工業、豊田通商が加わっており、マツダで7社目。

引用元:日本経済新聞

このように、日本の政府や企業が挑戦している、バイオ研究による新しい自動車は、どのような結果になるのか?楽しみですね。

また、これから自動車業界は大きく変わる産業のひとつだと思います。日本人の人口が減少するということは、車を所有する人も減りますので、これまでのように、車が大量に売れる時代ではなくなりますので、自動車関連の事業をしている方は、何らかの工夫が必要になると思います。

Next Page:ムーンショット計画5

次のムーンショット計画5では、新品種の食材や、昆虫食の開発を行っています。

また、食材ロスを抑えながら、個人の栄養価を考慮して作る「フードシステム」などもあります。

最後に、「昆虫食」が学校給食に採用された記事を参考に、昆虫食の評判についてお話しています。

↓↓↓↓↓↓↓

ムーンショット計画目標5【食料生産】昆虫食が学校給食に参入!評判について

ということで、今回は以上です。

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