2020年1月23日に開催した、第48回総合科学技術・イノベーション会議にて、「ムーンショット計画」を発表をしました。現時点(2022年)で、9つのプロジェクトがあります。
これから9記事に渡り、持続可能な社会に向けたムーンショット計画の開発内容や成果報告、そして当社の考えを掲載します。
ムーンショット計画の目標1では、遠隔操作などができるアバターの開発を行っています。アバターは、人間の代わりに仕事をするので、私たちの働き方が大きく変化します。
【ムーンショット計画 目標1】
2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現
本記事では、初めての方向けにムーンショットの由来を解説した後に、内閣府が提示している資料を元にムーンショット計画目標1について説明します。
そして最後に、ムーンショット計画1によって、新しい社会に変わった後の生活費と在宅勤務になりやすい「業種・職種」について、当社の考えをお話しています。
「ムーンショット」の意味(由来)

そもそも『ムーンショット』という言葉はどこから来たのか?知っていますか?
ムーンショット(Moon Shot)とは…
達成するには難しいけれども、実現すれば大きな成果に繋がるような、壮大な計画を立てて、挑戦をすることです。
1961年(昭和36年)、第35代アメリカ合衆国大統領を務めた、J.F.ケネディ氏の行動から生まれています。
多くの人を驚かせた、「月へ、ロケットを打ち上げる!」という宣言。この演説にて、ムーンショットと呼ばれ、前代未聞の挑戦が始まります。そして、8年の月日が経った1969年、見事な成功を収めました。
ムーンショット計画というのは、現時点から「できること」を探して、目標に向かうものではなく、目的を設定してから、やるべきことを順に決めて行っていく逆算方式です。
内閣府が掲げた「ムーンショット計画」
超高齢化社会や地球温暖化問題など、未来社会が直面する困難な課題に対して、国が野心的なムーンショット目標を掲げて解決を目指す研究開発プログラムです。
いずれも、挑戦的な目標であることには違いありません。一方で実現すれば、社会的に大きなインパクトを与え、経済成長、未来の人々が豊かに暮らすものと確信をしています。
ムーンショット計画は、これまでの価値観を超えたことを行っているので理解が難しいです。だからこそ、「もしもアバターが使えるようになったら、何をしてみようかな?」と、自分のことのように置き換えて考えてみると溶け込みやすいです。
それでは、ムーンショット計画の目標1の詳しい内容を(ターゲット、ビジョン、背景など)、内閣府の資料を元に説明します。
ムーンショット計画1「ターゲット」

誰もが多様な社会活動に参画できるサイバネティック・アバター 基盤
- 2050年までに、複数の人が遠隔操作する多数のアバターとロボットを組み合わせることによって、大規模で複雑なタスクを実行するための技術を開発し、その運用等に必要な基盤を構築する。
- 2030年までに、1つのタスクに対して、1人で10体以上のアバターを、アバター1体の場合と同等の速度、精度で操作できる技術を開発し、その運用等に必要な基盤を構築する。
注:サイバネティック・アバターは、身代わりとしてのロボットや3D映像等を示すアバターに加えて、人の身体的能力、認知能力及び知覚能力を拡張するICT技術やロボット技術を含む概念。Society 5.0時代のサイバー・フィジカル空間で自由自在に活躍するものを目指している。
※引用元:内閣府「ムーンショット計画1」
サイバネティック・アバター生活
- 2050年までに、望む人は誰でも身体的能力、認知能力及び知覚能力をトップレベルまで拡張できる技術を開発し、社会通念を踏まえた新しい生活様式を普及させる。
- 2030年までに、望む人は誰でも特定のタスクに対して、身体的能力、認知能力及び知覚能力を強化できる技術を開発し、社会通念を踏まえた新しい生活様式を提案する。
※引用元:内閣府「ムーンショット計画1」
ムーンショット計画1「関連するエリアとビジョン」
- Area :「急進的イノベーションで少子高齢化時代を切り拓く」
- Vision :「誰もが夢を追求できる社会」の実現、「100歳まで健康不安なく、人生を楽しめる社会」の実現
※引用元:内閣府「ムーンショット計画1」
ムーンショット計画1「目標の背景」
・少子高齢化の進展により、今後、我が国では生産年齢人口が減少するが、これは同様の人口動態をたどる先進国やアジア周辺国においても、共通の課題となっており、日本は課題先進国として、この問題の解決に取り組むべきである。
※引用元:内閣府「ムーンショット計画1」
・さらに、人生100年時代において、様々な背景や価値観を持った、あらゆる年齢の人々が多様なライフスタイルを追求できる、持続可能な社会(Society 5.0)の実現が求められている。
・様々な背景や価値観を持つ人々による、ライフスタイルに応じた社会参画を実現するために、身体的能力、時間や距離といった制約を、身体的能力、認知能力及び知覚能力を、技術的に強化することによって解決する。
ムーンショット計画1「目指す社会」
ムーンショットが目指す社会
※引用元:内閣府「ムーンショット計画1」
・人の能力拡張により、若者から高齢者までを含む様々な年齢や背景、価値観を持つ人々が多様なライフスタイルを追求できる社会を実現する。
・サイバネティック・アバターの活用によってネットワークを介した国際的なコラボレーションを可能にするためのプラットフォームを開発し、様々な企業、組織及び個人が参加した新しいビジネスを実現する。
・空間と時間の制約を超えて、企業と労働者をつなぐ新しい産業を創出する。
・プラットフォームで収集された、生活データに基づく新しい知識集約型産業や、それをベースとした新興企業を創出する。
・人の能力拡張技術とAIロボット技術の調和の取れた活用により、通信遅延等にも対応できる様々なサービス(宇宙空間での作業等)が創出される。
ムーンショット計画1「アニメーションで解説」
ムーンショット計画1「プロジェクト一覧」
- 誰もが自在に活躍できるアバター共生社会の実現【タイプ1】
- 身体的能力と知覚能力の拡張による身体の制約からの解放【タイプ3】
- 身体的共創を生み出すサイバネティック・アバター技術と社会基盤の開発【タイプ2】
- 生体内サイバネティック・アバターによる健康・医療の実現
- アバターを安全かつ信頼して利用できる社会の実現
- M×Nマルチペアリング型無線プラットフォームの研究開発
- ナノ・マイクロバイオアバターが拡張するバイオ秩序の共創フロンティア
※引用元:内閣府「ムーンショット計画1」
タイプ1~タイプ3のみ、開発者・内閣府のコメントを追加しておきます。
誰もが自在に活躍できる アバター共生社会の実現

・プロジェクト概要
※引用元:科学技術振興機構「ムーンショット計画1」
利用者の反応をみて行動する、ホスピタリティ豊かな対話行動ができる「複数のCAを」自在に遠隔操作して、現場に行かなくても多様な社会活動(仕事、教育、医療、日常等)に参画できることを実現します。2050年には、場所の選び方、時間の使い方、人間の能力の拡張において、生活様式が劇的に変革するが、社会とバランスのとれたアバター共生社会を実現します。
タイプ1:ホスピタリティとモラルのある「対話・行動CA」
「タイプ1」では、自分一人で、一度に多くの人と話をしたり、誘導をすることができるようになります。
現在の実証実験としては、高齢者がアバターを操作して、保育園の園児に挨拶や見守りをすることや、絵本を読んでサポートをしています。また、スーパーの試食をアバターが行っていますが、現在子育て中で外で働くことができない主婦の方も、遠隔操作の仕事をしています。
それに加えて、分身ロボットは遠隔操作しながら感触がわかる特徴があります。操作している自分が特殊な手袋をはめていれば、アバターが何かに触れているときの感触も伝わります。
たとえば、遠く離れた家族を抱きしめることもできますし、釣りアバターでは、魚の釣れる手応えを感じます。
身体的能力と知覚能力の拡張による身体の制約からの解放

・プロジェクト概要
※引用元:科学技術振興機構「ムーンショット計画1」
人の意図が推定できれば、思い通りに操作できる究極のCAが可能になります。推定には脳活動の内部だけでなく、脳表面情報や他人とのインタラクション情報も、重要な手がかりになります。これらをAI技術で統合し、ブレインマシンインタフェース(BMI)機能を持つCA(BMI-CA)を、倫理的課題を考慮して開発します。2050年には、人の思い通りに操作できる究極のBMI-CAを実現します。
タイプ3:頭で念じれば思い通りに操作できる「BMI機能を持つCA」
「タイプ3」では、BMI(Brain Machine Interface)と言って、頭で念じれば、思い通りにアバターを動かせるようになります。まるで 「テレパシー」みたいな技術で、頭で思い描くことで、メールを送ったり、メモを取ったりできます。
身体的共創を生み出すサイバネティック・アバター技術と社会基盤の開発

・プロジェクト概要
※引用元:科学技術振興機構「ムーンショット計画1」
人々が自身の能力を最大限に発揮し、多様な人々の多彩な技能や経験を共有できるサイバネティック・アバター技術を開発します。技能や経験を相互に利活用する場合の制度的・倫理的課題を考慮して、人と社会に調和した、身体的な技能や経験を流通する社会基盤を構築します。2050年には、この流通が人と人との新たな身体的共創を生み出し、サイバネティック・アバターを通じて誰もが自在な活動や挑戦を行える社会を実現します。
タイプ2:新しい体験共有を生む「体験共有CA」
「タイプ2」では、1体のアバターが専門家の知識や身体技能を合体して動かします。
生体内サイバネティック・アバターによる健康・医療の実現
・プロジェクト概要
※引用元:科学技術振興機構「ムーンショット計画1」
2030年までに、ミリ・マイクロ・ナノスケールロボットシステムとサイバーフィジカル患者空間とを統合した生体内サイバネティック・アバターを開発し、生体内の微小部位に到達して予防・診断・治療行為を実施するための基盤技術を確立します。それにより、2050年には人のどの患部にも低侵襲で到達し、予防・診断・治療・健康維持に資する生体内サイバネティック・アバターを実現し、健康長寿社会への貢献を目指します。
アバターを安全かつ信頼して利用できる社会の実現
・プロジェクト概要
※引用元:科学技術振興機構「ムーンショット計画1」
2050年までに、サイバネティック・アバターを安全かつ信頼して利用できるCA基盤の礎となる認証・公証及び情報セキュリティ基盤を整備するため、CA操作者の認証(ユーザ認証技術)、CAの識別と認証(CA認証技術)及び操作者(利用主体)とCA本体の連結性及び実存状態の担保(CA公証)に関する研究を行います。アバター生活実現のために克服すべき社会的課題解決のため、ELSE(Ethical, Legal, Social and Economic)研究基盤を構築し、新次元領域法学(AI・ロボット・アバター法)の展開を目指します。
M×Nマルチペアリング型無線プラットフォームの研究開発
・プロジェクト概要
※引用元:科学技術振興機構「ムーンショット計画1」
CAの活動に応じたエリア最適化を実現するスマートスポットセルが複数協調し、中広域の複数CA制御を可能とするインテリジェントローカル無線ネットワークを開発します。また、インターネットを介した操作者との通信品質と、各CAの動作に応じた適切なトラヒック制御を行う、マルチペアリング型無線プラットフォームを構築します。それにより、2050年にはM人の操作者が、N体のCAを協調制御可能な無線プラットフォームの実現を目指します。
ナノ・マイクロバイオアバターが拡張するバイオ秩序の共創フロンティア
・プロジェクト概要
※引用元:科学技術振興機構「ムーンショット計画1」
本プロジェクトでは、バイオ機能を利用した画期的なナノ・マイクロバイオシステムである“ナノ・マイクロバイオアバター”の実現を目指します。学際の研究分野において、2030年までに、分子の相互作用とバイオ機能を次元横断的理解に基づき、アバターナノマテリアル、アバターセル、およびサイバネティック評価システムを創成します。2050年までに、生物個体内でオンデマンドに情報取得・伝達できる“アバター”の実現を目指します。
研究成果を一部紹介
2022年6月20日
※引用元:内閣府「ムーンショット型研究開発事業「アバター共生社会」プロジェクトの オフィシャルCGアバターを開発(名古屋工業大学)(移動ページ)」

〇 ムーンショット型研究開発事業の「アバター共生社会」のオフィシャルCGアバターを作成
※引用元:名古屋工業大学「ムーンショット型研究開発事業「アバター共生社会」プロジェクトの オフィシャルCGアバターを開発」
〇 自律動作と遠隔操作を両立し、存在感と生命感を備える、受け入れられやすいデザイン
〇 社会実験や企業コンソーシアム、展示会等での幅広い活用を目指す
「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」
オリィ研究所が開発した、遠隔操作ができるロボットを使って、ALSの難病の方が、カフェで仕事をしています。
また、「複数アバター分身実験」という、複数の接客を同時に行うことを、オリィ研究所とムーンショット計画の目標1のプロジェクトマネージャーが共同で公開実験を行っています。
ムーンショット計画1の説明はここまで
いかがでしょうか。今回の内容を簡単にまとめます。
人間の能力が拡張されることで、年齢層関係なく多様なライフスタイルを追求できるようになります。また、サイバネティック・アバターの活用によって、国際的なコラボレーションをするためのプラットフォームを開発し、企業・組織・個人が新しいビジネスをすることができます。企業と労働者をつなぐ新しい産業の創出もできることでしょう。
最後に【当社の考え】
最後に、以下について当社の考えをお話します。
- 新しい社会に変わった後の「生活費」
- 在宅勤務になりやすい「業種・職種」
新しい社会に変わった後の「生活費」
ムーンショット計画を行うにあたって、国民の生活費はどうなるのか?という疑問もあると思いますが、生活費のことも考えた上で第四次産業革命を起こしていると思います。
日本人の長生きという課題があり、家事サービスを提供することなどで、人を働かせずに経済活動もできるよう考慮しています。ですから、将来的に働かない人に対する経済的な保証はあると思います。
具体的には、現在いくつかの国で試験的に行っている、ベーシックインカム制度が日本でも導入するでしょう。
イメージとしては、コロナ禍で10万円の給付金をもらったことが似ています。
ベーシックインカム制度は、日本維新の会が政策として挙げている他、経済論を語るアナリスト達の中でも、現在のインフレーション状況から、これからの経済と社会の動向を予測する上で大変注目されています。
在宅勤務になりやすい「業種・職種」
今後アバターを使って在宅勤務ができる業種・職種が増えます。コロナ禍でDX化が一気に進みましたが、今後さらに遠隔操作で企業運営がしやすくなります。
ICT化しやすい仕事としては、デスクワーク系全般、店舗での受付などの接客サービス、営業、製造、教育など…があります。少し先の話になるかもしれませんが、重機の操縦なども次第に遠隔操作ができるようになると言われています。
現在、アバターとVRを組み合わせた、ファイナンシャルプランナーと会話ができるコンテンツをアメリカで開発しているので、これから日本の銀行・保険などの金融業界も大きく変化していきます。

余談ですが、下記のような業種も事業見直しが必要です。
VRは現在いる場所でリアルに体感するものですので、観光業界、エンタメ業界などの現地に人を呼ぶ仕事も、今から対策すると良いと思います。
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次のムーンショット計画目標2は、病気を早期発見するためのヘルスチェック機器などの開発を行っています。
また、「医学の研究者」と「数学の研究者」が集まって、人間の身体のデータ取得してAIで解析します。
ムーンショット計画では、人間の「健康」に着目しており、「健康診断・健康寿命延伸医療・精神医療」と、3つのプロジェクトがあります。先ずは、ヘルスチェック(健康診断)から始まります。
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ムーンショット計画目標2【ヘルスチェック測定器とデータ共有】新しい時代の「医療+テクノロジー」と事業アイディア
ということで、今回は以上です。
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